スタートアップが上場を目指してはいけない理由
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上場よりも買収されることを望む
シリコンバレーのベンチャーの53%が買収されることを望み、上場を望んでいるのは16%であるという記事。
大多数のスタートアップは買収されることを“ゲームの終盤戦”だと見ている。
そもそも買収合併が何たるかをわかっていなければ意味がない。
理解するには限定品を買い占める場面でも想像してみればいい。限定品を1つだけ買うなら定価でも買えるだろう。だが、100個限定のものを100個すべて買おうと思ったら、いくらか値段を釣り上げてくる売り手がいるはずだ。定価の何倍もの価格を要求する売り手もいるだろう。
買収とは株式をすべて買い占めることだ。だから、1株だけ買うときよりも当然高くなる。売り手から見れば、1株だけ売るよりも全部売ったときのほうが1株当たりの価格が上がるのだ。
上場は無数の株主に対して株を売ることを意味し、買収は特定の株主に株を買い占めてもらうことを意味する。買収のほうが高くなりやすいのだから、買収を目指すのは何も不自然なことではない。
東芝が半導体をすべて売る理由
東芝は半導体事業の株式を20%未満だけ売却するなどという頭の悪い戦略を当初は口にしていた。これは要するに限定品を1つだけ売るようなやり方だ。
減損が激しくなってからは50%以上の売却を考えるというマシな戦略を提示した。50%以上くらいからは事実上の「買い占め」だから急激に1株当たりの買収価格が上がってくる。全部売れば1株当たりの買収価格は一番高くなるのが普通だ。
50%以上売却するというのは、単に売る量を増やすというだけではない。1株当たりの価格を釣り上げたいという意思表示でもあるといえる。